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富山地方裁判所 平成3年(レ)11号 判決 1992年1月31日

控訴人(原告)

桝谷敏夫

被控訴人(被告)

東京海上火災保険株式会社

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し、金四七万八七〇〇円及びこれに対する平成元年一〇月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張は、次のとおり補正するほかは、原判決摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一枚且裏末行の「慶次郎」を「慶二郎」に、同二枚目表五行目の「その総額」を「その治療費(以下「本件治療費」という。)の総額」にそれぞれ改める。

2  同二枚目表七行目の「損害補償の」を「賠償責任の負担に基づく損害のてん補等を目的とする」に、同一〇行目の「右治療費の残額」を「本件治療費から被告の支払つた金三〇万〇四二〇円を控除した残額」にそれぞれ改め、同末行の「七万八七〇〇円」の次に「及びこれに対する平成元年一〇月二四日以降の民法所定の遅延損害金」を加える。

3  同末行の次に、改行のうえ、「原告はまた、予備的に、次のとおり主張した。(一)被告は昭和六〇年五月一日頃原告に対し崔の治療費は被告が責任をもつて一括して支払う旨申し入れて崔の治療を継続させ、その後、同年九月末日までの治療費については異議を留めずに支払を継続してきた。(二)そのため、原告は、崔の治療費は全額被告から支払を受けられるものと信頼して同人の治療を継続してきたものであり、原告がそのように信頼したのは当然のことであり、法律上保護されるべきである。(三)したがつて、崔の治療が終了し原告にとつて崔の所在も確認できない時期になつて、被告が原告に何の通知もしないまま崔と訴訟上の和解をしたうえ、原告に対し本件治療費の支払を拒否するのは信義に反するから、被告は本件治療費の支払義務を免れない。」を加える。

三  証拠関係は、本件の原審記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決二枚目裏五行目の「証拠」の次に「(甲一~六、乙三、一二、一六~一八、一九の一、二、二〇の一、二、二三、二四の一、二、二五、証人西山律子、同平澤元康)」を加える。

2  同七行目の「電話で」の次に「崔の通院していることを確認し、」を加え、同行の「一括払い」を「一括払」に改め、同八行目の「金沢支店」を削除し、同一〇行目の「四二〇円が、」の次に「二回にわたつて」を加える。

3  同末行の「本件事故」の次に「と原告の治療」を加え、同三枚目表一行目の「医療内容」を「診察・治療の内容、根拠、見通し等」に、同四行目を「報酬明細書等を、昭和六〇年一二月一六日から同六二年一月二四日まで五回にわたつて、被告に送付した。これに対し、被告は、支払う趣旨の回答もしなかつたが、平成元年一一月頃までは支払を拒否する意思を明示することもなかつた。」にそれぞれ改める。

4  同三枚目表五行目の「宗和総業や」を「宗和総業に、次いで、」に、同八行目の「固定していることの」を「固定している旨の、あるいは原告の治療は本件事故に基づく賠償の対象外である旨の」に、同九行目の「一一月一七日付」を「同年五月頃被告代理人髙橋定男弁護士から照会を受けたのに対し、同年六月に」にそれぞれ改める。

5  同裏四行目の「成立し、」の次に「同年一一月中旬に被告から」を加える。

6  同七行目の「一括払い」を「一括払」に改め、同九行目の「ところで、」の次に「証人平澤の証言及び弁論の全趣旨によれば、被告の行つた右一括払の取扱は、」を加え、同一〇行目の「行われている」を「一般に行われており、この」に改め、同末行の冒頭に「右証言に、」を加え、同四枚目表四行目の「過ぎず、」を「過ぎないものと認めるのが相当であり、」に改め、その次に「かかる一括払の取扱の場合に保険会社が当然に治療費の全額を支払うことになつているものと読むべき証拠もない。したがつて、右の一括払の取扱を行つていることから、」を加え、同五行目の「付与する」から同六行目の末尾までを「付与したものと認めることは到底できない。」に改める。

7  同四枚目表七行目の「右以上に」を「証人西山の証言中にも、前記認定以上に」に改め、同八行目の「負担する」の次に「趣旨の意思表示があつたことを裏付けるに足りる部分はなく、他に、原告主張の」を加える。

8  同一〇行目の「右2」を「前記一の1」に、末行の「連絡不充分の」を「支払拒否の意思を明示しない」にそれぞれ改め、同裏一行目の「停止し」の次に「たこと、そして、原告の治療が終了した後になつて、崔と中戸との和解に基づき」を加え、同行の「が支払われたこと」を「を支払つたこと、これ」に改める。

9  同裏六行目冒頭の「と」の次に「からすれば、原告が被告から本件治療費全額の支払を受けられるものと信頼したとしてもそれは十分な根拠のあるものとは言いがたく、また、被告から一括払の取扱の通知を受けたことが崔に対して治療を開始、継続したことの直接的な動機、原因となつているとの事情も認められず」を加え、同七行目の「帰責」を「本件治療費全額の支払義務を負わ」に改める。

二  よつて、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺修明 矢田廣高 中垣内健治)

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